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▶幼馴染み・After

《カテゴリ:単独で読める本@既刊詳細

■シャア(とセイラ)がとアムロ幼馴染みだったら…という設定のCCA後のお話。

■幼馴染み・1st、Z、CCAの続編になります。1st、Z、CCAを既読の方に。未読の方は再録集6にAfter含め全編掲載されております。

■サンプル

 νガンダムで大気圏突破をするという荒業で地球に降りてきたアムロとシャアをフォローしてくれたのはセイラだった。とは言っても、さすがにセイラ本人がνガンダムの落下地点へ来る訳にはいかなかったので、セイラの信頼を得た人物らが二人の移動手段などを確保してくれたのである。
 シャアとアムロが幼い頃過ごしたあの家に戻ることが出来たのは、νガンダムとサザビーが宇宙から消えた三日後。その翌日にはセイラが二人を訪ねてきた。
「兄さんのバカっ!」
 顔を見るなりそう言って容赦なく兄の頬を平手打ちした妹の瞳から涙が溢れ、兄は同じ色の目を細めて笑みを浮かべる。
「綺麗になったな、アルテイシア」
 謝罪の言葉など期待してはいなかったが、幼い頃の優しかった兄そのままの口調で言われてしまうと、怒りを持続するのが難しくなってしまう。まだまだ言ってやりたいことが沢山あったのに―――
「何言ってる。セイラさんは出会った時からずっと綺麗だったよ」
 兄への態度を決めかねているセイラに代わって、アムロがシャアに抗議した。
「まあ、ありがとう」
 笑顔で言ったセイラは思わず感慨深げな様子で付け加える。
「あの可愛かったアムロが女性にお世辞が言えるようになるなんて」
 一年戦争の時に再会して以降、成長したアムロの姿など見慣れていた筈なのに、この家で三人が揃ったせいだろうか。目の前のアムロにあの頃の面影を重ねてしまったのだろう。
「いつまでも子ども扱いですか? 僕、もう二十九ですよ」
 苦笑して応じたアムロだが、微妙に変わった空気を察し慌てて付け加える。
「それに、お世辞じゃありませんから」
「褒めてくれるのは嬉しいのだけれど、年齢の話はよしましょう」
 笑顔のままのセイラの機嫌が微妙に下がり始めたことには気づいたものの、理由までは察することが出来なかったアムロは思いきり冷や汗をかいた。
(これだからニュータイプの能力なんて役に立たないんだ)
 ここは速やかに話題を変えようとアムロが口を開きかけたその時。
「なんだ? まだそんなことを気にするような年じゃないだろう」
 兄が見事に妹の地雷を踏んだ。
「女性にとって三十歳超えることの意味は男性とは全然違うのよ。また平手打ちを食らいたくなかったら、よーく覚えておくことね、兄さん」
 表情(かお)は笑っているが目は笑っていない。そんな妹に迫られて、シャアも自分の失言を悟る。同時に、この家で過ごした頃の――自分が守ってやらなければと思っていた妹の成長を実感した。
「強くなったな、アルテイシア」
「当然よ。兄さんの背中ばかり追いかけていたあの頃とは違うんですからね」
 誇らしげに胸を張るセイラにシャアは眩しそうに眼を細め、アムロはそんな兄妹を少しばかり羨ましそうに見守っていたが、ふと見上げた天井からぶら下がっている物が目に入った。
(何だろう)
 手を伸ばして取ろうとしたものの微妙に手が届かない。気付いたシャアがアムロの傍から手を伸ばした。
「何だ?」
 手に取ったものを見てシャアが首をひねる。
「……くす玉…かな?」
 シャアの手にあるのは紙を貼り合わせて作られた球状の物。埃を被り随分色あせているが昔はさぞカラフルだっただろう。
「あら、それ―――」
 正体を見破ったのはセイラだった。

No.25 : Posted at 2019年12月25日 02時47分28秒 - Parmalink - (Edit)