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▶再録集2

《カテゴリ:再録集@既刊詳細

■収録内容(目次より)
【BE TOGETHER(※合同誌より再録)】
【subtle affection】
【subtle friendship】
※カップリング注意!
 シャア×アムロ前提の万丈×アムロ(R18)です
 『subtle affection』の後日談になります。
【Passing】
※カップリング注意!
 シャア×アムロ前提のカミーユ×アムロ(R18)です
【あむろ1/2】
※アムロ女体化(後天性)注意!コメディです

■サンプル(BE TOGETHERのみ)

 ティターンズとエゥーゴ、そしてネオ・ジオンが絡んだ三つどもえの戦いが収束し、ようやく訪れた平和も束の間、人類は新たな驚異に晒されていた。敵は地球人だけではない。地底だの、別の銀河だの、別の次元だのから攻めてくる多くの敵と戦う為には地球人同士で争っている場合ではないのだが、主義主張の違いはそう簡単に割り切れないのか、地球人類が一丸となって戦う―――などと言う状況にはならなかった。
 幸い、モビルスーツやロボットを開発している民間の研究所などの協力を得て多少は戦力を増強できたものの、グリプス戦役などで多くの人材を失った地球連邦軍の戦力不足は否めない。
 そんな状況の中、連邦軍で一番大きな戦力が纏まっている……つまり連邦軍の主力であるロンド・ベル隊の艦長ブライト・ノアは一つの決断を胸に、部隊のスタッフを招集した。


「地球に降りる? この時期にか?」
 ブライトの提案に表立って反対はしなかったものの、賛成は致しかねるという様子で理由の説明を求めたのは、グリプス戦役で一度は行方不明になっていたクワトロ大尉だ。
「艦長には何かお考えがあるのでしょうけど、この時期に地球に降りるのは作戦上あまり意味があるとも思えませんね」
 クワトロの意見に同意して口を開いたのは、民間人ながらロンド・ベル隊に多くの資金を援助し、自らもダイターン3を駆って戦闘に参加する破嵐財閥の総裁、破嵐万丈。ほとんどが未成年で占められている民間人パイロットの中で彼の存在は貴重だった。
「君たちの意見はもっともだが、どうしても仲間に加えたい人物とようやく連絡がついてね」
「その人物が地球にいるから向かえに行く…と言う訳ですね? でも戦艦で向かえに行くのは大袈裟過ぎませんか?」
 会話に加わってきたのはエマ・シーン中尉、民間人のパイロットが多い中で数少ない正規軍人の彼女は、現状での戦力不足を充分認識していたが、戦艦が地球に降りる―――大気圏を突破しなければならないリスクも承知していたので、相手にシャトルで宇宙へ上がって貰う事は出来ないのかと言いたいのだ。
「むろん私もそれは考えた。だが、彼らは今、連邦軍の監視下で軟禁状態でね。自力で宇宙に上がってくるのは難しいのだ」
 ブライトの台詞で向かえに行く相手が誰なのかを察したのはクワトロ大尉だ。
「まさか……その向かえに行く相手と言うのは、アムロ・レイか?」
 驚きと期待の入り交じったクワトロの台詞に、ブリーフィングルームがざわめいた。
「アムロ・レイってあの有名な…?」
「一年戦争の英雄の……」
 『ジオンの赤い彗星』と呼ばれたシャアに対し、一部では『連邦の白い悪魔』などという通り名で噂されるアムロ・レイの名を知らない者はいない。
「そうだ。それにカミーユも一緒らしい」
 ざわめくメンバーの声を取り敢えずは聞き流し、ブライトは頷いて見せた。
「カミーユも一緒なんですかっ!?」
 ブライトが口にした名前に、アムロの時以上に反応したのは二人の女性―――エマと、そのカミーユの幼なじみでグリプス戦役では戦友でもあったファ・ユイリィだ。彼女は、グリプス戦役で負った『傷』が回復した頃に行方不明になってしまったカミーユの行方をずっと捜していたらしい。
「なるほどね。一年戦争の英雄と、グリプス戦役の功労者が消息不明だったのは、軍によって監禁されていた訳か」
 破嵐財閥が持つ情報網を駆使しても行方が掴めない筈だと眉を顰めた万丈にブライトが苦笑する。
「奴らはこんな事態になってもまだ、本当の敵よりも有りもしないニュータイプの軍閥化を恐れているらしいな」
 そのニュータイプの力が多くの戦局を有利に導いた事を承知で、感謝するよりもその力を恐れて飼い殺しにする事を選ぶ軍上層部には言いたい事が山ほどあるが、今はそれを議論している時ではない。
「しかし、軍によって軟禁されている者をロンド・ベル隊が脱出させたとなると、色々とマズイのではないですか?」
 そう口を挟んだのは、話題になっているアムロやカミーユと同じくガンダム系のパイロットであるシロー・アマダ少尉だった。彼自身はいい加減、連邦軍にはウンザリしていたので今更軍を辞める事になっても構わなかったのだが、最終的には全ての責任を負うことになるであろうブライトの立場を思いやったのである。
「なに、今は連邦軍も混乱しているからな。アムロやカミーユを軟禁する連中もいれば、彼らを救出して戦闘に参加させろと命令してくる勢力もある。今回の作戦はそちらの系統から出された正式な命令なのだ」
 だから大丈夫と―――自分の立場を思いやってくれるメンバーに軽い口調で言うと、
「軍の中にも話の分かるオッサンはいるってことだな!」
「それなら話は早い。さっさと英雄達の救出に向かおうぜっ!」
どんな状況に置かれても前向きで明るいスーパーロボットの少年パイロット達が元気に発言する。そんな彼らの言葉を後押しに、ロンド・ベル隊の地球への降下が決定された。


「……ちら…地球……軍のア……レイ、ロン……ベ…隊、応答願い……す。こちら、アムロ・レイ。聞こえているか? ブライト」
 次第にクリアになっていく通信機からの声を、シャアは百式のコクピットの中で聞いていた。懐かしいと言えるほど声を良く知っている訳ではない。実際に本人と会ったのは数えられるほどでしかないのだ。だが、どんどん近づいてくる『気配』は良く知っている。一年戦争の頃は敵として、グリプス戦役の時は味方として戦場を共にした相手―――
 ロンド・ベル隊に向かってくる多数の敵に追われるようにして、味方の識別信号を出している機体が二機。それがアムロとカミーユの乗る機体の筈だ。一機はシャアも良く知っているZガンダム。おそらくこれにカミーユが乗っているのだろう。もう一機はZガンダムのウェーブライダー型に似た機体(後からリ・ガズィという名前と、Zガンダムの量産型として試作された機体なのだと聞いた)追いすがる敵を鮮やかに墜としていく手並みを見ても、アムロが乗っている事は確実なように思われる。
「よく、二機だけでここまで来られたな……」
 シャアは呟いた。
 軟禁されていた基地から脱出した二機を追う機体は多い。これまでに随分の数を墜としてきたとなれば、最初は更に多かったに違いないのだ。
「まあ、あの二人ならば当然か。むしろ追うように命令された敵パイロットに同情すべきだろうな」
 そう言っている間にも、視線の少し先で敵機ばかりが墜とされていく。Zがビームサーベルで近くの敵を、アムロの方はライフルで遠くの敵を……コンビネーションも中々のものだ。この二人が戦闘に加われば今後のロンド・ベル隊の戦いは随分楽になると喜ぶ反面、目の前で繰り広げられるアムロとカミーユのコンビネーションに釈然としない気分になる。
 しかし、この時点で、シャアはまだ自分の感情の正体には気付いていなかった。


「向かえに来てくれた集団の先頭にいる金色の機体、きっとクワトロ大尉ですよ」
 戦闘中にもかかわらず、接触会話でカミーユが話し掛けてきた。カミーユの指摘を待つまでもなくアムロも金色の機体の気配は感じていたし興味のある話題である事も確かだったが、今はそれよりも戦闘中に会話をするだけの余裕があるカミーユにホッとする。何と言ってもカミーユが戦場に出るのは久しぶりで、あのシロッコとの一戦以来なのだから。
「この短い戦闘で勘を取り戻せるなんてたいしたものだ」
 接触会話越しに聞こえてくるアムロの声音と台詞に、カミーユはアムロの気遣いを感じて嬉しく思う。
「戦うのは恐いですよ……でも、アムロさんと一緒だから平気です」
 それはアムロの気遣いに対するお礼の意味を込めた言葉のつもりだったが、口にしてみると案外本音に近い事が分かった。
(そうか……アムロさんと一緒だから久しぶりの戦場でも落ち着いていられるんだ…)
 シロッコを倒すのと引き替えに、半ば廃人同様になってしまった自分。ファの協力もあってようやく精神的な荒廃からは回復したが、もう二度とモビルスーツに乗る事も戦争に関わる事もゴメンだと思っていた自分が、アムロの「ここを脱出して、ロンド・ベル隊に合流しよう」という誘いに乗ったのは、グリプス戦役で初めて出会ったアムロが戦う事に対する恐怖を克服していった様子を思い出したからだ。
(アムロさんを立ち直らせたのは、ベルトーチカさんと……シャア・アズナブル)
 自分にとってはクワトロ大尉である人物も、この件に関しては別の名前で呼ぶべきだろうとカミーユは思う。
(僕を立ち直らせてくれたのは、ファとアムロさんって事かな)
 カミーユがそんな事を考えている時、またもや接触会話によってアムロの声が聞こえてきた。
「ありがとう」
と。最初、何に対する『ありがとう』なのかさっぱり分からなかったカミーユは、暫くして、それが先程の自分の台詞に対する答えだったのだと気付く。
「アムロさんて……すごい照れ屋なんですね」
 カミーユはクスクスと笑ってそう言ったのだった。

No.14 : Posted at 2018年08月19日 17時41分14秒 - Parmalink - (Edit)